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玄関先からの憂鬱

今週に入ってから自炊が多くなりました。理由は簡単。金が無いから。

26日に給料が振り込まれる予定なんですが、現残金3000円。凌げないわけではないけど心細い。終電で寝てしまい埼玉まで行ってしまえる私としては、できれば財布の中はある程度余裕を持ちたいと思うわけです。そういうわけで今週は200円1kgのスパゲッティと具財各種600円で、3夜連続スパゲッティといった偉業等も達していたりするのです。

スパゲッティを茹でるのには当然水が必要なわけですが、コッチに越してきた当初はミネラルウォーターを惜しげもなく使っていましたが、たかが水の癖に2リットル100円もしやがるので、普通に水道水を使うようになりました。しかし、実家がなぜか井戸水だったもので、水道水の不味さには耐えられず、昨年秋頃に浄水器を3000円で購入。これのお陰でスパゲッティも美味しく茹でられ、水道水も飲めなくはなくなったのです。

ただ浄水器のカートリッジが半年程が交換の目安と書いてあったので、そろそろ交換しないと駄目なのかなぁ、と。出てくる水の質は変わってないと思うんですが、衛生上ちょっと心配だったりします。

で、そんなことを考えながらもその日もスパゲッティを作ろうと準備を始めていたのですが、珍しく来客。ドアを開けると、作業着姿の20代後半位のお方が2人。なんだなんだ。

「最近、この近所で水道水のカルキ臭が気になる方が大勢いらっしゃるとの事で、調査とアドバイスをさせていただいております。○○の×山と申します。」

はぁ。さいですか。○○の部分がよく聞き取れなかったんだけど水道局の方ですかね。

「それで現在、皆様のお宅の水道水をこのコップに入れてもらって、カルキの量をチェックしているのですが、このコップに水道の水を入れてもらってよろしいでしょうか。」

なんか面倒だなぁ、思いっきりドア開けちまったから閉められんしなぁ。まぁ、タダで調査してくれるって言うんならやってもらいますか。このコップですか。はいはい。ちょっと待っててねぇ。

「水道の水は暫く流してからコップに入れてください。正しい結果が出ませんので。」

はいはい、と。ここで一度ドアが閉めます。さて、とりあえず一寸考えますか。

×山という人は喋り方が非常にマニュアル的です。ていうかテンポが遅すぎる。もっとテキパキ喋られないものですか。聞いてて疲れます。もう一人は×山って方の先輩らしき人でただ見ているだけなのですが、あれですか、×山って人は見習いの方かなにかですか。新人教育は大変です。やったことないけど。いや、そんなことはどうでもよくて。

こっちに越して以来、様々な来訪者がやってきますが、このパターンはなんですかねぇ。まぁ一つしかないですが。きっとこの後、私が入れた水道水の大量のカルキを見て、「これはいけない。こんな危険な水を飲んでいたら癌になりますよ!」などと精神的不安を募った後、「そこで当社がお勧めするのが、このハイパースレッディングを搭載した超浄水君mk2!並列処理で水を浄化し、貴方の健康をお守りします!」とか言って、高額な浄水器を売りつけるわけです。オレオレ詐欺等が隆盛を極めている昨今で、こんな古典的商法を使っているとはなかなか侮りがたいです。

とりあえず水道水を入れてドアを再び開け、×山さんに渡します。

「ではこれから調査しますので玄関先を貸していただけますでしょうか。」

ええー。ただでさえ、汚い部屋なのに。まぁそれでもいいならいいですけど。コラコラ玄関先のゴミ袋見て嫌な顔するのはやめてください。

セールス対処法に、玄関先にあげてはいけないってのがありますが、水質調査の結果が気になるので敢えてあげてみました(言い訳)。×山さんは胸ポケットから錠剤を取り出し、

「それではこのクスリを水に混ぜると、カルキに反応して水がピンク色になります。ところでカルキというものをご存知であると思いますか?」

カルキ位知ってるよ。・・・えーと、私がご存知あるということを、私が思っているかという質問ですか?・・・日本語おかしくないですか?ちょっと混乱してしまい、

「え・・、ご存知じゃないんじゃないでしょうか」

私まで日本語がおかしくなりました。変な日本語は移るという怪奇現象を身を持って体験しました。って、ご存知なのにご存じないことにしちゃったじゃないですか!コラ!こいつナニ言ってるんだ?って顔するな!先に分からない質問仕掛けたのそっちじゃないか!!。・゚・(ノД`)・゚・。

「えー、カルキとは塩素のことでして、消毒のために(以下略)」

説明始めちゃいましたか。だからもっと早く喋ってくれって。

「それではクスリを入れますね。」

クスリが入ります。次第に溶けていきます。コップをちょっと振ります。おかしいな、という表情を浮かべて胸ポケットから出した棒でかき混ぜます。しかし色はつかず。困った様子で、後ろの先輩らしき人を見ます。先輩らしき人は黙ったまま。

「あの・・・最近水道をお使いになられました?」

「あー、使ってないなぁ。自炊とかしないし。」
嘘付け。

「暫く流してから水を入れましたか?」

「どうだったかなぁ。」
適当に答えます。

「では申し訳ありませんが、もう一度水を入れなおしていただけませんか?」

ふと見ると、先輩と思われる人が台所の方を伺っています。これはまずいです。結果も分かったしお引取り願いましょう。

「悪いけど、これから用事があるんでもういいです。」

「5、10分程で済みますので、お時間いただけないでしょうか。」

「いや、もう時間が無いんで結構です。」

ジャージ姿で、用事もへったくれも無いですが、この辺は押しで。ドアを閉める直前に「色が変わらなくてごめんなさいね。」とだけ言っておきました。

ふいー、色が変わったらどうしようかと思いましたよ。しかしすごいですね。綺麗にカルキを抜いてます。うちの浄水器。はい、そうです。お察しの通り、コップに入れた水は浄水器を通した水道水です。冒頭の心配もあったんで、ちょっと試してみました。途中、どんな水でも色の変わる詐欺まがいの調査だったらどうしようとも思いましたが、その辺は真面目なセールスさんだったようで。後ろの先輩らしき人は、台所を覗き込もうとしてたんで多分バレてたと思いますが。

その後、安心してスパゲッティ300gを茹で、おいしく頂きました。この浄水器、まだカートリッジの交換は必要なさそうですねぇ。×山さんには数ヶ月に一度うちの浄水器チェックに伺って欲しいものです。